向山神社の鉄造(鉄製)狛犬
今回の話題は、高千穂町、向山(むこうやま)神社の鉄造(鉄製)狛犬ですが、まずは、向山神社の紹介から。
御祭神
伊弉諾命(いざなぎのみこと)・伊弉冊命(いざなみのみこと)・素戔嗚命(すさのおのみこと)・天照大神(あまて
らすおおみかみ)田心姫命(たごりひめのみこと)・端津姫命(たぎつひめのみこと)・市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)・天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)天穂日命(あめのほひのみこと)・天津彦根命(あまつひこねのみこと)・沽津彦根命(いくつひこねのみこと)・ 熊野杼樟日命(くまのくすびのみこと)
御由緒:創建は不詳、古文書には「紀州熊野から勧請」とあり、「熊野拾弐社大権現」と呼ばれていました。
「丸小野権現」「向山権現」とも記されています。
向山村の大社として三田井家の崇拝が篤く、三田井越前守親武が再建したと伝えられます。
以上、現地 鳥居前にあった由緒書きより
※「向山神社」と改称したのは明治31年6月のようです。
現在、地元の方以外、殆ど訪れない、あまり知られていない神社ではありますが、文化財として全国に5体しか現存しない鉄造狛犬の内、鎌倉時代に作られた一対(二体)の鉄造狛犬がこの「熊野拾弐社大権現」(向山神社)に奉納されていたのです。
向山神社は鳥居から本殿まで続く、約500mの参道が「熊野古道」を彷彿させる雰囲気で、参道沿いにある仁王像や20基の特徴的な石灯籠も見所です。
参道にある、石灯籠の9基の傘の上には、種々の神像が彫られ、2基が猿、7基が七福神を表したものの様です。
石灯篭等は天保年間のもので、作者は延岡の石工・利吉。利吉は、浅ヶ部八十八ヶ所霊場の仏像、押方・二上神社の猿の燈篭、下野八幡神社の仁王像等も手がけています。
向山神社の鉄造狛犬
宮崎県指定 有形文化財(美術工芸品)
向山神社より高千穂町コミュニティセンターへ寄託、高千穂町歴史民俗資料館に展示中。
まずは、狛犬の知識から(wikipadiaより一部引用)
狛犬(こまいぬ)は、獅子や犬に似た日本の獣で、想像上の生物とされる。
神社や寺院の入口の両脇、あるいは本殿・本堂の正面左右などに一対で向き合う形、または守るべき寺社に背を向け、参拝者と正対する形で置かれる事が多く、またその際には無角の獅子と有角の狛犬とが一対とされる。
飛鳥時代に日本に伝わった当初は獅子で、左右の姿に差異はなかったが、平安時代になってそれぞれ異なる外見を持つ獅子と狛犬の像が対で置かれるようになり、狭義には後者のみを「狛犬」と称すが、現在では両者を併せて狛犬と呼ぶのが一般化している。
獅子または狛犬は中国や韓国にも同様の物があるが、阿(あ)・吽(うん)の形は日本で多く見られる特徴であり、仁王像と同様、日本における仏教観を反映したものと考えられている。
一般的に、獅子・狛犬は向かって右側の獅子像が「阿形(あぎょう)」で口を開いており、左側の狛犬像が「吽形(うんぎょう)」で口を閉じ、古くは角を持っていた。
鎌倉時代後期以降になると様式が簡略化されたものが出現しはじめ、昭和時代以降に作られた物は左右ともに角が無い物が多く、口の開き方以外に外見上の差異がなくなっている。これらは本来「獅子」と呼ぶべきものであるが、今日では両方の像を合わせて「狛犬」と称することが多い。」 引用おわり
鉄造(鉄製)の狛犬は、全国にわずか5体しか存在しないそうで、内、二対(4体)が、高千穂町内の高千穂神社と向山神社に奉納されております。
みやざきの文化財情報サイトより引用
引用“向山神社の狛犬は、阿形・吽形の一対となっている。いずれも鉄造であり、魔除けのための守護神として向山神社に奉納されている。
同狛犬の阿形は、高さ43pで、開口し左右犬歯は上下連結させて表現され、タテガミは葉状に房を重ねている。
吽形は、高さ44.5pで、閉口しているが上下歯牙を見せ、後頭部のタテガミには毛並みが表現されている。
神社などの狛犬は、一般的には木造もしくは石造が多いが、向山神社の狛犬は全国的にも事例の少ない鉄造である。
またその制作年代は、最新の調査研究(『阿蘇高千穂地域歴史資料調査報告書』熊本県立美術館、平成20年3月)によれば、鎌倉時代後期とされている。同じ時代に制作された鉄造狛犬として、現在確認されているのは、高千穂神社の一対(二体)と栃木県宇都宮市の二荒山神社の一体(建治3〈1277〉年の銘がある)の三体である。
さらに制作技法においても、4つの割型が使用され、毛並みの表現も丹念に行われるなど、当時の鋳造技術としてはかなり高度なものがうかがえる。
このように技法材料と様式のいずれからみても、向山神社の狛犬の希少性は明らかで、工芸史上の重要な価値を持つものである。” 引用終わり
高千穂神社の鉄造(鉄製)の狛犬(国の重要文化財)は、鎌倉時代に源頼朝の名代として秩父の畠山重忠が天下泰平を祈願するため、代参、奉納したものと言われております。
鎌倉時代に作られた1対が(奉納された方は不明ですが)ここ向山神社にも奉納されていたようです。
以下の向山神社の鉄造(鉄製)狛犬(現物)は、高千穂町歴史民俗資料館で撮影したものです。
(参考リンク)
みやざき文化財情報サイト内ページ(外部)
その他の鉄造狛犬
高千穂神社の鉄造狛犬(参考1)
鉄造狛犬一対 (国指定重要文化財)
下の写真は、高千穂町歴史民俗資料館で撮影したもので、複製品です。(現物は高千穂神社拝殿両脇にあります。位置などは、
高千穂神社ページをご覧ください。)
高千穂神社には鎌倉時代、源頼朝が奉納したとされる鉄造狛犬一対があります。
鎌倉期の名作とされ、国指定重要文化財にもなっております。
鎌倉時代に源頼朝の名代として秩父の畠山重忠が天下泰平を祈願するため、代参、奉納したものと伝わります。
高千穂神社の鉄造狛犬は向山神社の鉄造狛犬に比べると、サイズも一回り大きく、また、細部にわたるまでかなり精巧に作られ、保存状態も良いことがうかがえます。
一般的に、向かって右側の獅子像が「阿形(あぎょう)」で口を開いており、左側の狛犬像が「吽形(うんぎょう)」で口を閉じ、古くは角を持っていたそうです。
高千穂神社でも、右が阿 左が吽の配置となっておりましたが、高千穂町歴史民俗資料館では、以下のように左右逆に配置・展示されおりました。何か理由があるのでしょうかね??
文化庁文化庁 国指定文化財データーベースより引用
主名称: 鉄造狛犬
指定番号: 3266
指定年月日: 1971.06.22(昭和46.06.22)
部門・種別: 彫刻
時代区分: 鎌倉
解説文: 頭を高く立て、腰をしぼり、四肢を細目につくって筋肉や関節を際立たせるなど、颯爽とした姿態の一対で、その象形は同時代(鎌倉時代)の木彫狛犬の作例と比較しても遜色がない。
鉄像は銅像に比べて複雑な形の鋳造、細部の仕上げが困難であるが、この一対はそれらを大過なく行なっており、その鋳技は鉄造遺品中出色のものといえる。 / 引用おわり
(参考リンク)
みやざき文化財情報サイト内ページ(外部)
宮崎県内の「狛犬での文化財」は以上二件のみです。
(参考2)高千穂以外のもう一体、栃木県宇都宮市の二荒山神社の鉄造狛犬 (国指定重要美術品)は、狛犬と言うより、和犬そのもののようにも見えます。
参考リンク掲載 →
二荒山神社(外部)
今回の記事に関するアクセス等の情報
向山神社に関しては、GoogleMap等の地図リンクでは、わかりにくい部分もありますので、当サイト内
向山神社ページを参照願います。
参道前までの道路は一応、簡易舗装はされておりますが、道幅がかなり狭いので、すれ違い出来ないところが殆どです。対向車が来ると、すれ違える広いところまで*百メートルバックすることになりますので脱輪等心配です。運転や車幅感覚に慣れていない方は、神社参道前まで車で行くのはお勧めしません。
この神社は時間に余裕をもって、歩いて訪ねて欲しいところです。
向山神社の鉄造狛犬が展示されているのは、高千穂町コミュニティセンター内にある「高千穂町歴史民俗資料館」です。
高千穂町歴史民俗資料館には、高千穂に残された古代遺跡古文書、神話、伝説の史跡や民俗文化財など約10,000点の文化遺産が収集、保管展示されています。
場所:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1515
高千穂町コミュニティセンター内
GoogleMap
国道325号線と国道218号線高千穂バイパスの合流点「総合運動公園前交差点」高千穂武道館の隣です。
宮崎交通高千穂バスセンターから徒歩12分
開館時間:9:00〜16:30(休館日12月28日〜1月4日)
料金:大人・高校生200円、小・中学生100円
宮崎の神話巡りにも!!
〜高千穂関連のニュース〜
9月19日より、高千穂の名勝地、高千穂峡〜高千穂神社〜天岩戸神社間を一日4往復、
「高千穂回遊バス」が土・日・祝・を中心に運行開始しました。
平成28年3月末までの予定ですが、その後も続けて欲しいですね。
〜 余談 お知らせ などです 〜
地域の祭りより、このサイトコンテンツ関連かな?と思うものを掲載。
先日、近所で地域の祭りがありまして、楽しんできました。
みやざき犬、巫女舞、獅子舞を撮りましたので、写真三枚掲載します。
この日、みやざき犬 むぅちゃんは、神話のふるさとみやざきロゴ入りTシャツ、かぁくんは古代衣装でした。
平成27年度 宮崎神宮大祭神賑行列「神々のパレード」に係る従者募集のお知らせ
平成27年10月31日(土)および11月1日(日)の2日間開催される宮崎神宮大祭の神興行列において、神話に登場する14の神々による「神々のパレード」の
従者として参加していただける方。を募集しているようです。
募集内容 神々の従者(プラカード、山車など)として、宮崎神宮大祭の神賑行列に参加頂ける皆様を募集
募集人数 最大52名(1日目:28名、2日目:24名)
募集締切 平成27年10月13日(火)まで (当日必着)
→ 詳しくは
宮崎市観光協会サイト内ページをご覧ください。
オススメ本の紹介「古事記と日本の神々がわかる本」吉田邦博 (著)
古事記の内容と、神々の紹介、非常にわかりやすい本だと思います。
昔の絵図なども豊富に掲載、興味をそそります。
表紙カバー 神々の背景は高千穂の雲海(当方撮影)です。
出版社:学研パブリッシング / 発売日:2015/09 \1,080円
「古事記」に記された有名な神話と、天皇の事跡をリンク、わかりやすくダイジェストで紹介。豊富な図版による日本の代表的な神々の図典も掲載。「古事記」と日本の神々を知るための入門書です。
吉田邦博:1958年、福岡県生まれ。文筆家。駒澤大学仏教学部卒業後、國學院大學神道學専攻科修了。原始仏教や神道、さらにはキリスト教をはじめとする西洋思想など、多岐にわたるテーマで幅広い執筆活動を展開した。2013年11月23日没
→
詳しい項目の紹介はこちらの別ページに記載
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高千穂町、向山神社の鉄造狛犬の写真(宮崎県高千穂町)
当サイト内関連ページ:
向山神社|
高千穂の神社|
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